「ともかく上手い。圧倒的だ。もう見ているだけで満たされる気がする」
「ふーん。それで?」
「大きな絵だとね。接近しないと分からない絵がある。でも離れてから振り返ると、遠くから見た時にだけ見える別の絵が仕込まれているのが分かった。面白い」
「へー」
「日本画の鑑賞方法の片鱗ぐらいは分かった気がする」
「それは良かったね」
「建物も面白いしさ。満足して帰ってきたよ」
オマケ §
「というわけで、ここは中目黒にある」
「うん」
「でも東急の電車賃を払うのも勿体ないし、井の頭線の神泉から歩こうと思ったのだ」
「そうか」
「でも神泉で降りると松濤美術館にも寄りたくなる誘惑が。中目黒まで行くと、こんどは目黒の庭園美術館まで行きたくなる誘惑が」
「ひ~」
「ちなみに、西郷公園の前は通ったぞ」
「西郷公園は自転車で行ったことがあるんだよね?」
「そうだ」
「ならば、郷さくら美術館も自転車で行けたのでは?」
「暑いから全部自転車は避けた」
「な、なるほど……。でも神泉からは歩いたんだね?」
「そう。歩いた」